文字を読んでいるはずなのに、音楽が聞こえてくる。『のに』がつくとぐちがでる って相田みつをは書いてたけど、でたのは無上の喜びに満ちたため息。
グラーヴェ、ラルゴ、ラルゲット。
言葉と言葉の羅列、それ自体が楽譜を形成しているかのごとく緻密な構成で成り立ち、どこか一つの言葉でも削れようものなら、全てが灰燼に帰してしまうのではないかとびくびくしてしまうほどの恐れと、読了後に彩られるは歩くような速さで訪れる安堵。
私が特に好きなのは「鈴蘭と階段」。ステレオタイプからの脱却、そして、アバンギャルドへの一歩。無才な私の琴線に触れる状況が多かった。
音楽という形のない事象をここまで体現するのに、一体どれほどの労力が払われたのか。私、気になります!
こういう文章をいつか書けたらと思う。いつになるかはわからないけど。
結論
読む音楽。そう思わされた一冊でした。