本書は、「参加と責任のシステム」の民主主義にフォーカスをあてつつ、中立的な立場から民主主義の歴史を再評価しています。民主主義を理解する上で非常に有益な書籍であり、民主主義に興味を持つ人にとっては必読の書と言えます。
本書目次
序 民主主義の危機
第一章 民主主義の「誕生」
第二章 ヨーロッパへの「継承」
第三章 自由主義との「結合」
第四章 民主主義の「実現」
第五章 日本の民主主義
結び 民主主義の未来
民主主義という概念は、古代ギリシャから現代までの歴史の中で発展してきました。この歴史的背景を踏まえることで、宇野氏は民主主義の概念を掘り下げ、その定義や進化の過程について解説しています。また、民主主義の理論的枠組みについても詳しく解説されており、自然権思想や社会契約論、リベラリズムなど、民主主義を支える理論的背景についても触れられています。
個人的に、民主主義に積極的に携わるにはどうしたらいいのだろうか? という疑問を意識して読み進めていたので、
自由な民主主義社会をつくるためには、日常的なレベルで人と協力する練習をしておいた方がいい。 —— (p. 155)
のトクヴィルの教えに、日頃から当事者意識を持って行動することの必要性をより強く感じさせられました。
多角的な視点から民主主義の意味を考え直すことで、民主主義理解への隘路を照らす一冊です。