論語新釈

不思議なモノで、読んでいる時期に応じて暁りかたが四方に変わる本。此の本意を知るにはそれ相当の学を積まなければならない——学而第一の真髄——ことを知ることができる良書。

本書目次

第一 学而(がくじ)
第二 為政(いせい)
第三 八いつ(はついつ)
第四 里仁(りじん)
第五 公冶長(こうやちょう)
第六 雍也(ようや)
第七 述而(じゅつじ)
第八 泰伯(たいはく)
第九 子罕(しかん)
第十 郷党(きょうとう)
第十一 先進(せんしん)
第十二 顔淵(がんえん)
第十三 子路(しろ)
第十四 憲問(けんもん)
第十五 衛霊公(えいれいこう)
第十六 季氏(きし)
第十七 陽貨(ようか)
第十八 微子(びし)
第十九 子張(しちょう)
第二十 尭曰(ぎょうえつ)

解釈は朱熹(朱子学)に則っているベーシックスタイルです。他の訳本にあるような、著者の政治的・感情的思想がことごとく排除されているので、素直に理解することができます。また、書き下し文、原文、解釈が一通りセットになっているため、原文の味を損なわずに読めます。加えて、本書はアカデミックな毛色が強いので、解説の粒度がめちゃくちゃ高く読み応えは抜群です。そのため、全く知識がないゼロベースから論語に触れたい場合は、角川スフィアあたりのもう少し平易なものから読み進めたほうがいいかもしれません。

本書は600ページを超える分厚さを誇っているので、1から100まで全てをつぶさに調べ上げようと意気込むと燃え尽きてしまう恐れがあります。万が一、そのようなケースにでくわしそうになったら、漱石の『草枕』に出てくる画家みたいに、寝る前の10分でもいいから目に入ったところを前後関係なくぱらぱらと読んでみてみるのも面白いです。

作者: 宇野 哲人
講談社

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