本書は、『万葉集』を読んでみたいという人向けの入門書。
原文、現代語訳にはフリガナがふっており、朗読にも適している。
どのページから読んだとしても問題なく読み進められる配慮からか、同一作者がページをまたいで出ていたとしても、親切にフリガナをふってくれているので、ページを行ったり来たりするストレスがなく読み進められる。 また、単なる現代語訳だけでなく、その歌が詠まれた時代背景や、人間関係も関連して記されているので、より、その歌の本意に近づくことができるでしょう。
加えて、p. 228以降の解説にある、成立と構成 や 万葉仮名を読み進めることで、
古文嫌いな人でも
『万葉集とは何ぞや?』
っていうのを知れる。
所感
個人的に古文を読むときに大事にしているのは、声に出して読むということ。
その行為は、目で追うだけでは味わいつくせない、悲傷流涕だとか、相聞に触れるための手法として、最も単純にして最も適していると思う。 また、本書とはちょっと脱線するけど、インドの教育文化で、ヒンドゥー教の聖典「バガヴァッド・ギーター」を詠唱したり、<<サハスラナーマ>>を唱えることが、記憶力の向上に一役買っていることからも察すれるに、音読の力ってすげぇんだな、というのを再認できた。
閑話休題
個人的にお気に入りなのは、山上憶良の貧窮問答歌(p. 154)。 不条理の中で生きる人間の底力を垣間見ると、どんなにつらくてもすぐ逃げ出すのはよくないよなぁと思える。