東大教授がまんがと図解で教える! 最新「地政学」入門

地政学(geopolitics)とはその名の通り、地球や大地(geo-)と政治(politics)を組み合わせて世界情勢を読み取る学問です。日本だと、日露戦争で連合艦隊の作戦参謀を務めた秋山真之らのあいだで学ばれましたが、第二次世界大戦後、GHQは「戦争のための学問」というイメージのあった地政学を禁止しました。

このようにして、日本人は地政学を学ぶ機会が薄れたまま今日まで過ごせたことは、欧米人と比較して日本人の交渉下手、グローバルな視点の欠如が問題視される要因の一つとなっております。

そのような現状に対して、本書は、上記諸問題を克服するための最適な道標を提示してくれる一冊です。

キーワード

シーパワーランドパワーハートランドリムランドチョーク・ポイント、バランス・オブ・パワー、バッファーゾーン

本書目次

地政学ってどんな学問?
なぜ今こそ地政学なのか?
第1話 地政学って何?(世界情勢がクリアに見えてくる!地政学の考え方を知る;地政学的な強みと守るべきもの 地政学で見る日本;最強のシーパワー国家のこれから 地政学で見るアメリカ)
第2話 それぞれの正義(アメリカと渡り合うための構想と手段 地政学で見る中国;ハートランド大国の伝統的思考回路 地政学で見るロシア;シーパワーとランドパワーそれぞれの利害 地政学で見るイギリスとヨーロッパ)
第3話 誰と組み、何を得るか(大国との巧みな距離感で成長を図る 地政学で見るインド・東南アジア;大国の思惑に翻弄され争いが絶えない 地政学で見る中東)

本書の魅力は、とにかく図解が豊富なことです。1テーマに対してこれでもかと図解が詰まっているので、地理が苦手な人であっても問題なく読み進めることができます。とりわけ、本書だとIntroductionに該当する、地政学の考え方を知る(p. 25 -)の箇所が、地政学の考え方のキーワードを構成しているので、各パートの詳細に入る前に目を通しておくと理解が捗るでしょう。

また、本書は要所要所でまんがによる補足があるので、この部分を押さえておくだけでも地政学に対する引っ掛かりを頭の中に構築することができるので便利です。

所感

現在だとホットワードとしてロシアによるウクライナ侵攻が挙げられますが、その理由について地政学から見ると、ロシアが何を欲しがっているのか当事者意識に立って物事を見ることができます。特に、ロシア・ウクライナ戦争終結後に待ち受けている国際情勢への影響をイメージすることができるでしょう。

地政学は「侵略の正当化」にも用いられた強力な学問であるからこそ、これを正確な情報をもとに把握することは、マクロな視点で世界を俯瞰できるようになるために重要だと知れました。

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