軽妙な語り口から挙げられる幸福にまつわる具体例の数々は、哲学書としては異質な読みやすい読み物としての機能を十二分に発揮させており、小難しい論理を自身の力で紐解いていくという哲学の王道から大いに反しているのが本書のキモ。
それは、哲学書としては物足りなさを感じさせる反面、身の丈にあったものを読むことの重要性、いわんや、本書のテーマ=(幸福論)を論じるにあたって大事なものは、
背伸びをせずに、肩の力を抜いて、目の前の出来事に精一杯取り組んだ先に生まれるもの
なのでしょう。
幸福ってのは案外、普段は見えていないけど身近にころがっているものなのかもしれません。