本作は、物事を斜に構えて俯瞰する主人公・比企谷八幡が、学園での奉仕生活を通して出会うユニークな登場人物たちとの学園生活を描いた青春? コメディーです。
ここで青春? と表記したのにも意味があって、一般的に想像に易い、甘ったるさとか爽やかさといったコンテキストに染まった、所謂、一本道で本筋に向かっていく作品とは違い、一癖もふた癖も備えた登場人物の設定のおかげで、より深みのある物語の作りとなっているのが本作のミソ。
そんな癖の強い人々と触れ合っていく中で、平穏な生活のためなら自己犠牲も厭わない主人公が成長していくさまは、まさしく、高校生という、何事にも多感で、ささいな一言で表にも裏にも転んでしまう"半分オトナ"な期間の脆弱さだけでなく、それを乗り越えていくだけの人としての底力を見せてくれます。 改めて、青春ってなんだったんだろうなぁと考えさせられるとともに、青春のありがたみを感じられる一冊です。