本書は、紀元前2600年ころに実在したと考えられるウルクの王:ギルガメシュの半生をつづった物語です。
ギルガメシュは、母は女神ニンスン、父はルガルバンダを持つ、3分の2が神で、3分の1が人間であるとされますが、不死の神ではなく、死からのがれられない人間として描かれます。
細かい話を除いて、ざっくりとしたストーリー。
死を恐れず、名声を求め、暴虐非道の日々を過ごすギルガメシュ
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ギルガメシュはエルキドゥとともに、さらなる名誉のため遠征
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エルキドゥが死亡したことで、ギルガメシュは死に対する恐怖を覚える
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不死を求めて旅へ
という物語。
本作の主要なテーマは、不死の探求であり、(神話からの脱却)=(人間は死ななければならないという認識)を掲げた重要な叙事詩。
死に直面したとき、人間の本性を垣間見ることができるというのを実感させられるとともに、永遠の生命を結局のところ得られなかったというペシミズムは、それそのものを得ることは、人間として生きるうえでのアンチテーゼであると感じずにはいられません。
人間に割り振られた死という運命を前に、いかに有意義に日々を過ごすか考えさせられた一冊でした。