性悪説≠人間の根源的な悪
本書で重要なテーマ、それは、彼の説く性悪説は決して人間の根源的な悪を指摘したものではないということでしょう。
性悪説という単語ですと、どうしても悪の字に引きずられて、人間の本質における、せこい部分だとか、犯罪を犯しやすい部分とか、そういったネガティブな印象を指したものだと認識しがちですが……
荀子の唱えた性悪説は、
礼や学問によって人は善人になりえるということにフィーチャー
していたことを知れます。
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本書は、ビギナーズ・クラシックス中国の古典ということもあり、全体を通して平易な表現で書かれています。
初学者向け書籍あるあるとして、情報の正確性とわかりやすさ→トレードオフ関係がついて回りますが……本書はところどころにコラムを配置することで、情報の正確性を担保しつつ、なおかつ、わかりやすいところが素晴らしい。個人的には、初学者向けの本であればあるほど、読者の知的好奇心をいかに刺激するかどうかをケアすべきであると思うので、情報のわかりやすさのほうが正確性よりも重視されたほうがええやんと思ったりしてます。
とにもかくにも、「荀子」の本質を知れた本書に感謝。