目を背けたくなるほどの狂気、胃の奥底からこみあげてくる酸っぱいものを我慢して読み進める。
登場人物に共通する名前、なにか引っ掛かりを残したまま読み進める。
そして、本書を読み終えた頃、五感全てが研ぎ澄まされ、「魂の在り方」を知る。
…
再生と破壊。双対する2つの概念。慈悲深さが垣間見える一方で、圧倒的なまでの恐ろしい性質が語られる様はまるで、ヒンドゥー教のシヴァが連想された。
その瞳に映るもの、すなわち、全てのかたちあるものは灰にされる。だからこそ、眼球をなくす→永遠の魂と精神的解放を希求する重要性に気付せ、自身が「魂をもつ身体」ではなくて「身体をもつ魂」であるという、ある種の悟りの境地を垣間見せられた。
幻想小説ならではの王道エロ・グロ・バイオレンスを見事に継承しているのも素晴らしい。
進化の過程——魂と身体が一体化——で大事な呼吸、それを忘れるほど本書にハマった。