本作は、一直線では終わらない恋愛小説の一つです。
前半は甘々な恋愛小説かと思いきや、後半に進むにつれて散りばめられていた伏線が回収され、最後にはじんわりとした余韻が残りました。
一つ一つの伏線のミスリード誘導が見事で、ぱっと見では単なる仕草の一部としか思えないような描写でも、よくよく目を凝らしてみると、全てはラストを綺麗に飾るための創意工夫が凝らされているんです☺️
わたし自身、読みながら、
『胸やけするくらい、現在のヒロインの仕草を中学生の時とリンクさせているな🤔』
と意識しながら読み進めていたのですが、オチを見た時は、『ああーそっちの方向性にいくんだっ』、っていう奇想天外さに目を奪われました。
癖の強い恋愛小説が好きな人におすすめな一冊です。
あらすじ
かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった幼馴染の真緒。十年ぶりに再開した彼女はなんと、出来る女へと驚異の大変身を遂げていたのだった。ただ、そんな彼女も僕には計り知れない過去を抱えているようで──
一押しポイント
とにかく、伏線の一つ一つの置き方がいやらしい。
「僕には手に取るようにわかった。なぜなら、背中が丸まっているからだ。
音もなく、といった感じのその動作は、社会人としての基礎がしっかり身についていることを感じさせた。
これらの描写が入る前提条件として、真緒の純粋さや、バカさ加減を押し出すことによって、その表現自体は経年による成長・特性の一部として誤認識させることに見事成功しています。もう、ミステリ小説だと言われても納得してしまうほどの構成の緻密さがすごいんです。
叙述トリックのオンパレードやー😇
…
どんな苦難があっても、それを受け入れられる心の広い、浩介くんのような人間になりたいと思えた一冊です。