「いい人」を演じることは簡単です。具体的には、仕事のコンセンサスをとりたいときや、家庭内、友達同士の会話において、相手の応答を無条件に受け入れ、是認し、首を縦に振るだけで成立するからです。
しかし、その行動には避けられない責務が付きまといます。
それは、
良好な交友関係を結ぶには「いい人」を演じ続けるべし。
という強迫観念に追われることです。
これは抗い難く、ひとたび飲み込まれてしまえば永遠にマスカレードで踊ることを余儀なくされます。その結果もたらされる虚脱感は精神を汚染し、現代の流行病へと容易に誘うのです。
本書は、そういった「いい人」が抱えやすい悩みを解決するための教えを、やさしい言葉で授けてくれます。
本書目次
1章 毎日がラクになる、小さなヒント
2章 困った時は、こうしよう
3章 人づきあいが楽しくなるコツ
4章 心地いい関係のつくり方
全体を通して、わかりやすく実践的な智慧が詰まった本であるので、現実問題に適用しやすい本という印象です。
この本を通して、心のおだやかな人へと変化する一助になってくれることを願って。
個人的に——統計的な優位差を示せるわけでないので肌感で語ることになるのだけれども——
「いい人」というのは、無意識のうちに他者に「気が利いて」しまうもので、これがやっかいなのです。
「利いて」という要素が、「使う」というワードより優位になっているうちはまだマシなのですが、本人にも気づかないほどの小さな間隙積み重なり、「気が利く」が「気を使う」に転移すると、小さなできごと一つ一つが目につき、いらいらし、どうしようもなくなります。
大概このパターンに陥る人は、時すでに遅し、という経路を辿ることが多く、病院送りされるケースが多い気がします(少なくとも、僕の身近な人はほぼほぼ病院送りにされました)。
なので、こういう状況は「気が利く」ということをさける練習を積み重ねることで改善されることが多いです。例えば、エレベータの開閉ボタンを率先して押さない、とか、ドアを開けて次の人をスムーズに迎えない、とか、そういう些細な行為です(もちろん、信頼のおける身内は例外)。
初めのうちは心苦しいかもしれませんが、「気が利く」人っていうのは余剰に「気を使って」いたりするので、おすすめです。